病院薬剤師の業務的書付

中小病院薬剤師の仕事関係メモ。まずは「はじめに」の記事をご覧ください。※薬物治療に関する個人的なご相談は受けません。

Na低下の補正に関する資料

チェック事項は
・どこに分類されるNa低下状態か
・補正目標設定の確認
・投与速度が適正か(速すぎないか)
というところだろうか。
 
以下参考資料。
具体的な数字のまとめはそのうちするかも。
 
Sendai City Medical Center, Emergency Room
「Water balance異常」
 
●日本内科学会雑誌104 巻5 号特集
腎臓病と代謝障害―内科医に求められる基礎と応用―
(2015)
「水・ナトリウム代謝異常」
 
●レジデントのためのEvidence Based Clinical Practice
【14回】 電解質異常へのアプローチ(前編)
カリウムのこと
 
【15回】 電解質異常へのアプローチ(後編)
ナトリウムのこと
 

アンサングシンデレラ単行本感想

ph-hagi-memo.hatenablog.com

以前1話目の感想を書きましたが、今は3話目まで期間限定で?無料配信されているようです。

www.zenyon.jp

 

1話を読んだときはかなり自分の職業的立場から読んでいたので

1巻通して読んでようやく少し普段の「読者」の立場になれたような気がします(苦笑)

単行本を読んで最初の感想は

「味方につけるべきは、看護部だよね~!!」だったわけですが。

(全っ然、読者の立場じゃない)

ここからは内容に触れますので読んだ後に。

続きを読む

カリウム騒動まとめ

 【個人的背景】

事の発端は

「スローケー発売中止のご案内」

2018年10月
 
スローケー(塩化カリウム)の後発があるのか調べたところ「ケーサプライ錠(アルフレッサ)」のみ。
切替品が1種類のみとなると流通的に嫌な予感・・・そもそもうちの採用品は塩化カリウム錠じゃなきゃダメなのか。
アスパラギン酸カリウム錠も採用あるし統一できないのか。
いやでも、塩が違うと、なんか違うんだったような。
 
というわけで調べたことをまとめていく。
 
【各剤の大きさなど】
スローケー錠600㎎(K+8mEq):白色の糖衣錠(徐放錠)、直径11.9mm、厚さ7.6mm、質量0.91g

ケーサプライ錠600㎎(同上):白色のフィルムコーティング錠(徐放錠)、直径11.0mm、厚さ6.4mm、質量約715mg

アスパラカリウム錠300mg(K+1.8mEq):白色フィルムコーティング錠、直径11.0mm、厚さ5.1mm、重さ0.47g
 
こうみると、アスパラカリウムとスローケーの直径はあまり変わらず、厚さの違いが大きさの印象の違いを与えているのか?
 
【自院での投与背景からの考察】
自院では、薬剤性低カリウム血症(利尿薬終了後の遷延、ステロイド投与中)に対する補正目的での投与が多い。
 
  下記リンクの図を参照すると、両方とも「腎性カリウム喪失→代謝性アルカローシス(利尿薬投与終了後・ミネラルコルチコイド投与)」に該当。
 
 
代謝性アルカローシス存在下での有機カリウム投与は、塩化カリウム投与に比べ40%程度しか血中に残らないとも推測されている(PMID: 14256714)。
ということは、やはり自院での塩化カリウム錠採用は必要。
 
ちなみに塩化カリウム注までは必要ないと判断(そこまで急性のカリウム補充必要な症例ない&急激なカリウム上昇によるリスクの方が高い)し、アスパラギン酸カリウム注のみ採用中。
 
【おまけ:薬以外で代替できないか】
・バナナ:1cmあたり0.9mEq
・やさしお:1gあたりカリウム7mEq(27,300mg /100gあたり÷39)
・某野菜ジュース:200mL(小1パック)あたり8~18mEq
現実的なのは野菜ジュースか?
ただし、食品には有機カリウムで存在すると考えられ、血中にあまり残らないかも。
(追記)
当院での実施状況について分かったこと。
(常食 →カリウム2200mg/日 ≒56mEq)
+某野菜ジュース300mL/日→ +カリウム723mg ≒19mEq/日
食品中のカリウム有機カリウムだろうから40%残存として7.6mEq/日のカリウム負荷となっている。
スローケー1錠分くらいか。 
(追記ここまで2018/10/10)
 
【その他、参考文献】
スローケーとグルコン酸KとK.C.Lエリキシルの比較,薬のデギュスタシオン p277-281
 
カリウムについての素晴らしいまとめブログ】
さすがぺんぎん先生。見やすく、またわかりやすいです。
(勝手にリンク失礼します)
 
【一緒に考えてくれたおふたり】
minimal先生、ruruuun先生ありがとうございました!
(こんなポンコツ記事に名前出すことになってすいません・・・)


居酒屋抄読会in新潟に参加してきました

zuratomo4.hatenablog.com

 

夏に新潟県の友人の所に行きがてら、参加できるかなと思い参加させていただきました。

シナリオ・論文の詳細はリンク先からご確認ください。

 

・シナリオのPECO

P:咳の出ている子供、5歳

E:他の効きそうな治療(?)

C:今まで通りのポララミン、アスベリンムコダインでの治療

O:子供の咳が良くなる(、お母さんが寝られる←どっちにしても寝かさないのでOから外されました:笑)

 

・論文の批判的吟味

ランダム化されているか:されている

 

論文のPECO

P:Qazvin Uni.を受診した児、1-12歳、87人

E1:Honey type 1、Kimia honey、5mL 1xvds 30min 2TD

E2:Honey type 2、Shahde-Gdha honey、5mL 1xvds 30min 2TD

C:ジフェンヒドラミン(DPH)

1-6歳未満(?)2.5mL[6.25mg]1xvds 30min 2TD

6-12歳      5mL[12.5mg]1xvds 30min 2TD

O:咳の頻度、重症度、厄介さ(しつこさ)、子供の睡眠の質、親の睡眠の質(、全体評価)

 

一次アウトカムは明確化か:明確

真のアウトカムか:真のアウトカム(今回知りたいことどんぴしゃ)

盲検化されているか:されていない、オープンラベル(見た目と味のため)

ランダム化は最終解析まで保持されたか:ITTではない(脱落者5名は解析から除外されている)

 

結論:ハチミツの方がDPHより咳を抑えたかな、ハチミツ間で差はなし(ただしDPH軍に軽症者が集まっている印象、Table1のスコア参照、DPH群は改善する余地がないから差が検出されていない→ハチミツに有利だった 可能性あり)

 
患者適用:勧めてもいいんじゃない?二晩だけだし。ベポラップ足してもいいか
も。
 
疑問:そもそもDPHやポララミンって咳に使うんだ
ハチミツはどんな機序で咳に効くのか
統計ってこれでいいの?(ポストホック分析って何?)

 

(かなりざっくりのまとめで申し訳ない)

 

さて、初めて居酒屋抄読会に参加しての感想は・・・

本当に楽しい(日本酒)飲み会だった!という感じでしょうか(笑)

 

細かい自分メモとしては

・抜き出しメモは有用だが、論文のどこに書いてあったか説明できるよう併記が必要
・司会大事
・関連話題も盛り上がるのが、皆で読む利点なんだな
・本当に論文読んで臨床に還元しようとしている人がいるんだなって実感できるのが、モチベーションになる
・新潟やばい日本酒やばい(語彙力)
・地域の話、その人の話、聞けるの面白い
・面白くて論文読むの忘れる
・ずらせんせーの当地職場への勧誘成功(?)
・ラーメン認定薬剤師への道は苛酷
 
また参加できたらと思います。
自分でも読んでいく。←お、言ったな

漢方薬の副作用についてまとめてみる

効果について考えるのも大事だが

副作用について系統立てて考えるのも大事だということで手元の資料をまとめてみる。

 

漢方薬の副作用>

副作用について考える時は生薬単位で行うとよい

 

1)薬理作用によるもの(用量依存性)

①甘草:偽アルドステロン症:浮腫・体重増加・血圧上昇・血清K低下(脱力・不整脈)→発症後、漢方中止およびK負荷でも改善されない時は、抗アルドステロン作用のあるスピロノラクトン・エプレレノン使用するとよい

②麻黄:エフェドリンによるβ刺激・中枢興奮作用:高齢者では尿閉・不眠・興奮に注意

③大黄・芒硝:下剤:芒硝→硫酸Na→心不全・浮腫Ptで注意要

 

2)過敏反応によるもの(not用量依存性)

間質性肺炎小柴胡湯が有名、原因生薬として黄芩の関与が疑われる

②肝障害:特に黄芩含有製剤では頻度が高いので定期的な血液検査が望ましい

③薬疹・かゆみ:桂皮・黄耆・当帰など多数の生薬が原因と報告されている

 

3)その他

①特発性腸間膜静脈硬化症:山梔子の関与が疑われている:腹痛・下痢・腹部膨満感などの非特異的症状の訴え、内視鏡的に確定、無症状経過例も

②消化器症状:腹痛・胃粘膜障害・下痢など:地黄含有方剤は食後内服で軽減

 

<参考文献>

Kampo Square2018 Vol.15 No.14 p34-39

「アンサングシンデレラ」感想

未見の方はこちらから。
1話目が見られます。
コミックゼノン|「アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり」

以下、ネタバレ含む感想になりますのでご了承ください。

最初に思ったのは「自分の仕事を漫画で読むって、こういう気持ちになるんだ…!」でした。

調剤薬局の漫画は、何個かあるけど、病院薬剤師って…ないよね?
オンコロジー領域は動画があったけど、一般業務はなかったし。

わたしはそう思わないなーとか(AIのこと)
そんなやり方したらそりゃこうなるわとか(疑義のかけ方)
ストーリーに気持ちを乗せてたら、ああ!それか!とか(テオフィリンと喫煙の相互作用)
無力さ思い知ったこともあるけど、今はそうでもないなとか(青い顔してたらバイタル取ろ?いや自分も出来ずに人呼ぶと思うけど)
ていうか、証拠を集めて(バイタル・看護師の証言他)から処方提案しないと!とか
(一番いいのは医師に処方提案と気付かれずに処方変更させること)
ああ期待の若手とか言ってみたい!!(後輩がいない現場なので)とか
ストーリー上の盛り上がり作らないといけないもんね…とか

これ、一般の方に伝わったのかな!?とか(笑)

どうなんでしょ。
そして、見続けられるかな。
うん、大丈夫そうかも。

おつかれさまです!
頑張ってください!

AHEADMAP総会&WS

2018年度 AHEADMAP総会・ワークショップ参加の記録。

WSのテーマは『薬を飲めない、飲まない…にどう向き合えばよいのでしょうか?』
服薬アドヒアランスについて、レクチャー、模擬症例提示からのグループディスカッション、そして実際模擬症例にどうEBMを実践するか、
アプローチの一例を見せていただきました。
その後、3名からEBM実践の発表。
ものすごーく、あああるあるあると頷いたり、そうかそういう手が!と思ったり。

WS班でのディスカッションも
まとまらないほどに盛り上がり、チューターさんに助けを求める始末(だめか)。
ああいうときに、臆さずに話すことは出来るようになったが
全員の発言を紙に記録していくこと、まとめて発表すること、は苦手で及び腰。
場数が必要なんだろう。
(指導薬剤師資格取得のためのWSをおすすめいただいた)

それにしてもWSも懇親会も二次会も(路上三次会は寒さに負けて事前離脱組)
楽しかった!
楽しく続けていくこと、楽しいからまた参加しようと思えること。
それは動機として一番強いと思う。
WS終了後の新規入会も結構いらしたようだった。
(自分以上に弾丸日程組む人っているんだなと勉強になった←?)

以下、自分が気になったとこだけ、まとめ。

・時間割引 time discounting
将来の利益は、今の利益よりも割り引きしてとらえてしまう心理傾向
一年後にもらえる一万五百円よりも、今もらえる一万円
(明日の朝の10分と、今夜更かしする10分は等価じゃないわけだ、うむうむ)

CDI・CDAD対策
整腸剤・PPI止め・抗生剤AMPC
(ていうかGL改訂予定らしい?そいやCDGL読んだことないや、調べるφ(..))
関連施設でも頭においておこう
上司に整腸剤提案について話したときにGLの推奨低いよとは言われたんだ
でも個別で見るとこういうデータがあって
他に今すぐ出来ることないんだったら
やってみる価値はあるんじゃないですか?って言って
了承はもらった
果たしてどうなるか
そもそも処方されるか、動向みていくこととする
(意図的に、仕事中は「論文」とか「エビデンス」という言葉を使わないようにしている。拒否反応示されることがあるため。部内は心配無用だが、院内で器用に自分スイッチ切り替えられない。)

(帰ったら資料見ながらもちょっと書くかも)

やっぱり終わってすぐに感想書かないとだめだな。
ぐだぐだだけどこの辺で。