病院薬剤師の業務的書付

中小病院薬剤師の仕事関係メモ。まずは「はじめに」の記事をご覧ください。※薬物治療に関する個人的なご相談は受けません。

カリウム騒動まとめ

 【個人的背景】

事の発端は

「スローケー発売中止のご案内」

2018年10月
 
スローケー(塩化カリウム)の後発があるのか調べたところ「ケーサプライ錠(アルフレッサ)」のみ。
切替品が1種類のみとなると流通的に嫌な予感・・・そもそもうちの採用品は塩化カリウム錠じゃなきゃダメなのか。
アスパラギン酸カリウム錠も採用あるし統一できないのか。
いやでも、塩が違うと、なんか違うんだったような。
 
というわけで調べたことをまとめていく。
 
【各剤の大きさなど】
スローケー錠600㎎(K+8mEq):白色の糖衣錠(徐放錠)、直径11.9mm、厚さ7.6mm、質量0.91g

ケーサプライ錠600㎎(同上):白色のフィルムコーティング錠(徐放錠)、直径11.0mm、厚さ6.4mm、質量約715mg

アスパラカリウム錠300mg(K+1.8mEq):白色フィルムコーティング錠、直径11.0mm、厚さ5.1mm、重さ0.47g
 
こうみると、アスパラカリウムとスローケーの直径はあまり変わらず、厚さの違いが大きさの印象の違いを与えているのか?
 
【自院での投与背景からの考察】
自院では、薬剤性低カリウム血症(利尿薬終了後の遷延、ステロイド投与中)に対する補正目的での投与が多い。
 
  下記リンクの図を参照すると、両方とも「腎性カリウム喪失→代謝性アルカローシス(利尿薬投与終了後・ミネラルコルチコイド投与)」に該当。
 
 
代謝性アルカローシス存在下での有機カリウム投与は、塩化カリウム投与に比べ40%程度しか血中に残らないとも推測されている(PMID: 14256714)。
ということは、やはり自院での塩化カリウム錠採用は必要。
 
ちなみに塩化カリウム注までは必要ないと判断(そこまで急性のカリウム補充必要な症例ない&急激なカリウム上昇によるリスクの方が高い)し、アスパラギン酸カリウム注のみ採用中。
 
【おまけ:薬以外で代替できないか】
・バナナ:1cmあたり0.9mEq
・やさしお:1gあたりカリウム7mEq(27,300mg /100gあたり÷39)
・某野菜ジュース:200mL(小1パック)あたり8~18mEq
現実的なのは野菜ジュースか?
ただし、食品には有機カリウムで存在すると考えられ、血中にあまり残らないかも。
(追記)
当院での実施状況について分かったこと。
(常食 →カリウム2200mg/日 ≒56mEq)
+某野菜ジュース300mL/日→ +カリウム723mg ≒19mEq/日
食品中のカリウム有機カリウムだろうから40%残存として7.6mEq/日のカリウム負荷となっている。
スローケー1錠分くらいか。 
(追記ここまで2018/10/10)
 
【その他、参考文献】
スローケーとグルコン酸KとK.C.Lエリキシルの比較,薬のデギュスタシオン p277-281
 
カリウムについての素晴らしいまとめブログ】
さすがぺんぎん先生。見やすく、またわかりやすいです。
(勝手にリンク失礼します)
 
【一緒に考えてくれたおふたり】
minimal先生、ruruuun先生ありがとうございました!
(こんなポンコツ記事に名前出すことになってすいません・・・)